幻冬舎の本はいつもなんとなく手に取る。ブックオフで昼休みに本の背を見ていたら「田口ランディ」の著者名が目に入ってきた。前から気になっていたけど、何となく手に取ることもなかったのだが、今回なぜか分からないが「コンセント」を手にして、110円だからと購入した。自分でいうのもなんだけど、この本一気に読んでしまったのが信じられない、っていう感じ。物語は引きこもりの兄が腐乱死体で見つかることから始まり、酒乱で船乗りの父、引きこもりの兄に家庭内暴力を受けている母、そして兄の家族を呪うように書いていく。そして主人公のフリーライターは、衝動的に男と寝る。過去を吐露していくと心理学を専攻する大学生だったときに指導教官と男女の関係になり、異常な性交を重ねたことを綴っていく。そして、オカルティックな潮来の話が出てくるなど、かなり重くてちょっと前なら完全にパスするテーマの本なのだけど読んでしまった。たぶんそれは、私が去年父をなくしたからだろうと思う。うちも厳しく激しくこうあるべきだという考えを持っていたから、父の死から時間が経ってくると、自分の心の蓋が外れたような感じがあるのだ。田口ランディの作品は自分の実体験に基づいていて、実際の人生で兄に引き続き母が亡くなったとき、「自分の家族のことを書いてしまえ」と思ったそうだ。憎んできた自分の家族を書いていく、ということが、この作品を私に読ませてしまったそのものだと思う。自分も傷つきやすくもろい心を持っていたけど、父親のいうことを聞いてその心に蓋をしてきた、と思う。いまは余りにそれが不通になってしまったから、蓋の外し方が分からないが。いずれにしても田口ランディを読んでいる。
#田口ランディ #コンセント
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