2024年8月19日月曜日

原田翔太「絶対領域」

 帯タイトルには『好きな事で生きるウラ秘訣「はぐれもの」のススメ』とある。原田翔太さんの名前はこれまで全く知らなかったが、長倉顕太さんの著書で知って、この本「絶対領域」を手に取った。

  「自分にしかできないこと」それを追求した先に手に入れられるものがある。

   オレはそれを「絶対領域」と呼んでいる。

  「自分だからできる命の使い方」とでも言い換えてもいいかもしれない。

                      (同書 P 13〜14)

「自分だけにしかできないこと」に徹底的にこだわる。真の自分の人生を生きるとはどういうことか、ということを追求する、とてもエネルギッシュな一冊だ。


  これからの時代で活躍するのは、世の中からはみ出した「はぐれもの」だけだ。

  今というのは、そんな、完全なる混乱の時代だ。

  しかし、これはオレたちみたいな存在にとっては、むしろ大チャンスでもある。

  なぜか?

  そういう時代に活躍するのは、「はぐれもの」と決まっているからだ。

                       (同書 P78、P84)

加えて出てくるキーワードが「はぐれもの」。私も会社員を辞めた「はぐれもの」の一人なだけに、この言葉もぐいぐいと気持ちを引っ張ってくる。そして私が最近気になっているワード、「教育」「奴隷」ということについても切り込んでくる。

  オレたちというのは、国家によって育てられた教育の奴隷なのだ。(同書 P179)

  ニーチェはこんな指摘をしている。

  「あらゆる人間は、いかなる時代におけるのと同じく、現在でも奴隷と自由人に

  別れる。自分の1日の3分の2を自己のために持っていないものは奴隷である。」


会社員であることは、奴隷であること。こんな単純なことに目を瞑って33年生きてきたんだと改めて思う。奴隷であることを認めて、その上で行動するならまだしも、「自分が奴隷だと気付かないまま、成人してからのほとんどの時間を費やしてきたこと」に悲しみを感じるよ。色々あって、会社を辞めて自由人になったけどね。少し前までは「胸を張って」自由人になった、とは、とても言えなかった。何だか、人生の落伍者になったような、何かとても悪いことをしているような、そんな感覚がどうしても拭えなかった。(だけど苦しくて辞めたんだけどね。)時間が色々なことを解決してくれる。会社員を辞めて2ヶ月半経って、物事を少しづつフラットに見る事ができるようになってきた。ゼロからスタートしよう、金銭的な不安から抜け出そう、きっとなんとかなるさ。奴隷を辞めたのだから。


 原田翔太さんは、自由人になって「はぐれもの」として一歩を踏み出すために、どうしても通過しなければいけないものの一つに「孤独」を挙げている。組織を離れて、多くのサラリーマン感性とは別の行動を取ろうとすると、この「孤独」の問題に遭遇する。でも、この孤独は絶対必要なんだという。そして孤独の時間で次のことを考えるのだ、


  オレは、本当にこれがやりたいのだろうか

  オレは、これをやらなかったら後悔するだろうか

  オレは、ちゃんと他人に価値を与えられているだろうか

  オレは、まっすぐ、自分らしく生きているだろうか

                 (同書 P207〜208)


 孤独を恐れず、自分に向き合い、やりたいことをやっていく。やりたい事が見えないかもしれない。それならば、時間に任せろ。余りに長いサラリーマン生活が自分の感受性を押し殺してしまっているのだから。

 と、「絶対領域」に鼓舞された。

面白いのでぜひ読んでください。そして、一緒に「はぐれもの」になりましょう。


#絶対領域 #原田翔太 #離職 #無職 #孤独




2024年8月18日日曜日

バカになると

 「職業」にこだわってしまうのが、サラリーマンを長くやってきた自分の考え方の癖だ。そういう考え方に縛られていたな、というのが最近の実感。16歳の時の自分、もっと前の13歳の自分に戻って「バカ」になってしまったらどうだろう、と最近考えている。

 バカは考えないし、将来の金の計算もしない。そういう方がずっと楽に楽しく生きていく事ができるんじゃないかな。大きな事をやろう、とか、人に認められようとか考えない。ただ、ただ好き、嫌いで行動する。一つの職業に自分を落とし込まない。

 あえていうなら、自分の職業は「バカ」でいい。


#無職 #転職 #フリーター #バカ


2024年8月13日火曜日

映画「ちょっと今から仕事やめてくる」

 この映画を見たものはもちろん「会社を辞めること」がテーマだから。実際2ヶ月半前に会社を辞めた自分だからね。Amazon prime。印象的なのは福士蒼汰さん演じるヤマモトのキャラクター。「生きていれば人生何とかなるよ」というメッセージでした。自分もとにかく精神的にキツくなって落ち込んで、いきそうになった経験があるので、ヤマモトのキャラはなんとも心に響いた。

 会社の上司のパワハラとか「あり得ない」とか思いながら、実態は、「辞められない」という恐怖心から「モノを言えなくなる」という構造は全く同じわけで。心境は分かる。黒木華さん演じる同僚のナンバーワン営業の気持ちもよく分かったな。

 この辺までは心情を同化して見ていて楽しかった。最後の南国での仕事に行くという設定はいただけなかったけど。


 とにかく、自分も今までのように「会社員として立派に生きる」というゲームから降りて、「ゆるくのんびりと最低限生きていけるくらい労働ロードーして、後は暇を楽しむ」というのがいいと思っている。そんな気持ちになると本読んだり、映画見たりするのが楽しくなるよね。


主人公役の工藤阿須加も可愛い好青年をうまく演じていたように思う。両親とのやりとりはセリフは良かったんだけど、親の表情とか少し違和感ありましたが。


別に立派な文章を書かなくてもいい。ゆるく書いてみることで、自分が楽しくなるのが一番いい。

#働かなくていい #ゆるく生きる #ちょっと今から仕事やめてくる #失業 #福士蒼汰


平野啓一郎「ある男」

 平野啓一郎さんの「ある男」を読んだ。これに惹かれたのは、「自分の人生をリセットして別の人生を歩む」人のストーリーだからだと分かる。そもそもは、Kindleの読み放題としてリストアップされていて、無職となった私が貧乏心から「つまんだ」のだ。だが、この「つまみ」は面白かった。平野啓一郎さんは、京都大学在学中に芥川賞作家となった人、というくらいの知識しかなく、しかも「何だか難しい言葉を使う作家」というネガティブなイメージが自分の中にはあった。作家には思想の変遷があるという事をこの物語を読んで理解し、そして平野さんの「分人」という考えを知るに至って、この物語に自分が惹かれた事の意味を了解したのです。

 小説では別の人間の戸籍を買って、自分の過去を全て捨て去り、新たな人生を静かに田舎町でスタートさせた男が主人公になっている。その町で一人の女性と出会い、子供を設け、幸せな暮らしをしていたが、事故で亡くなる。残された妻が男の本籍のある家に連絡を取ると、その男が全く違う人間だった事が分かる。数年間一緒に暮らし、子供まで設けた男は一体誰だったのか?

 「分人」とは、一人の人間が分離不能な「個人」(individual)として自己認知、自己認識されるのではなく、いくつかの別れた人格の集合体(divisual)として成立するという考え方だ。これが平野さんの創作活動の新たな柱になっているのだが、私はこの考えを知った時、ふっと救われるような感覚を持った。だって、少し前までは「ある会社のある会社員」であって、社会的な認知もその看板一つだったけれども、私の中には、その会社員としては、全く相容れない人格がたくさんあり、そのことにずっと悩んでいたからだ。

 会社員という社会的な看板を外した今、自分は全く社会から抹殺された異邦人というような感覚を持ってしまっていたけれども、そもそも「会社員という個人の一枚の単一なレッテル」という考え方自体に無理があったのだろう、と気づいた。いくつもの顔を持った複合的な自分という風に考えると、楽に生きていくことができそうな気がする。

 #平野啓一郎 #ある男 #分人 #無職 #中年フリーター 




2024年8月11日日曜日

早期退職した友達と飲む

 小学校からの同級生と久しぶりに連絡を取ったら、その彼も1年前に早期退職していた。56歳での退職。彼の場合は、心臓の疾患が見つかったのがそのきっかけで、手術は成功したものの人生観がはっきりと変わったんだという。ストレスまみれの職場を去って、ゆっくりと生きることにした、と話してくれた。365日会社に縛られて、結構な給料をもらっていたけれど、もうその生き方は辞めて、失業手当は2ヶ月受給した後、現在彼は会計年度の官庁の仕事をしている。それも1年で切り上げ、10月からはアルバイト生活をしていくことに決めたそうだ。

 全く別の環境で生きてきた旧友が自分と同じ決断をしていることに驚き、「飲もうか」となった。飲む前に、スーパー銭湯で一緒に風呂を浴びて、離職するまでの経緯をお互いに話す。昭和40年代の私たちは一応「終身雇用」とか「一流大学一流企業」みたいな価値観に染められているのだが、「あれ、俺たちレールから外れちゃったね」と、裸で笑い合う。失業手当の受給、その後の年金の受給をどうするか?60歳から貰うか?7割になっちゃうよね。。。

 話していて共感したのが、生活をシンプルにするとお金かからなくなるね、ということ。家財から保険まで、無駄なものを随分と整理したんだって。私もまずは年収200万円以内で生活できるようにしたいと思っているから、彼の話が結構参考になった。「いずれは車も手放すよ。」「俺もそうすると思う。」なんて話が繋がったな。


 自分の人生で一番大切にしなければいけないもの。それは時間。会う人、体験すること、自分でコントロールして生きよう。改めてそう思った。


#早期退職 #ハローワーク #年収200万円 #失業 #年金 

2024年8月8日木曜日

会社を辞めて 貧乏な暮らしを楽しむ

 ビートたけしさんが浅草時代を懐かしんでかつて暮らしていた3畳のアパートや安い飲み屋を訪ね歩くというテレビの番組をYoutubeで見たことがある。その時たけしさんが言っていた「昔は浅草座で月数万円くらいのお金をもらっていれば、なんとか暮らしていけて、誰かが奢ってくれて酒も飲めたな」というようなことを言っていたことを強く記憶している。その時に「鯨屋」という浅草の一杯飲み屋を訪ねていて、これはたけしさんの歌にも出ている。

 「学生時代のような生活をしたい」と思ったのは、この番組を見た事がきっかけで、じわじわと自分の中に浸透していったのだと思う。去年こどもたちが手を離れて、夫婦2人で借りていた一軒家をどうするか考えた時、妻とは別居して安いアパートに引っ越すことにした。妻は妻ですぐ近くに別のアパートを借りた。妻とは時々一緒にご飯を食べたりする距離感だ。

 学生時代のように「月10万円くらいで生活して、本を読んだり勉強したり、友達を遊んだり、アルバイトをしたりという生活を送りたい」というのが別居生活スタート時の目標だった。ただその時はまだ会社員を辞める、ということを明確に考えていたわけではなかったけど、運命の悪戯で、定年を2年余り残して会社員を辞めることにした。

 そんな訳で、今はハローワークに通って、失業手当をもらって生活しています。まだ、会社員時代の収入をもとにした地方税や国民年金、健康保険が高いので、とても10万円では暮らせないですが、徐々に小さな経済生活にしていきたい。車もまだ維持しているので、月15万円ぐらいで緩く生きていくのが今の目標。30数年前に学生寮で生活して頃の気持ちをもう一度持って、「貧乏な生活」を楽しみたい。50代後半にオモロイことして見ようと思います。

 芥川賞作家で最近亡くなった西村賢太さんと石原慎太郎東京都知事(当時)の対談をYoutubeで見た。これがたまたま「貧乏はよかった」というテーマ。西村さんは、日雇い労働をしながら、極貧のその日暮らしを私小説として書いてきて、芥川賞を受賞してからはお金持ちになった、というけれど、30年以上貧乏生活をしてきた人。石原元知事はもちろん「お金持ち」なのだろうけど、大学の寮生活で味わった貧乏な暮らしがとても楽しかった、ということで対談のテーマが作られていた。石原さんは芥川賞選考委員で西村さんの作品を非常に高く評価してきたそうだ。

 広告の波にどっぷんどっぷん浸って、ひたすらお金が欲しい、高いものが欲しい、という列車から飛び降りて、貧乏生活を楽しみたい。ということで最低限の生活費を稼ぐために、正社員ではない仕事を探している。中年フリーターになる予定。


#中年フリーター #早期退職 #ハローワーク #貧乏生活 #西村賢太 #石原慎太郎

 

2024年8月4日日曜日

会社を辞めて気楽に生きる、って 中年フリーターの巻

 ゆるく生きる、気楽に生きる。

私も会社員を辞めて、そんな生き方がいいな、と憧れてきた。

中年のアルバイト暮らし。

「学生みたいに生きたい」、というのが自分の願いだった。

いつの日か、その思い通りのストーリーが始まっていた。


が、辞めてみると、そう簡単ではなかったな。

気持ちの問題で。

長い間勤めていた会社を早期退職したんだけども

辞めることは、

定期的に給与が口座に振り込まれることが止まる、だけじゃなくて、

人間関係がごそっとなくなる、

社会から求められる役割がなくなる(と思い込む)、

というような、心を不安にさせる材料がごそっと出てきちゃう。


ようやく、社会保険や税金の切り替えの手続きを済ませたり

公共職業安定所・ハローワークへの通所を開始したり、

退職後の一連の作業が終わり、

晴れて、無職求職者となっているのだが・・・。


当面の生活費は蓄えから出すとしても、

家族以外の誰からも連絡がほぼなくなる、とか

毎日やることがない、とか

そういうことが、結構こたえる。


人間関係が所属していた会社の肩書きで成立していた事がよく分かり・・・、

何だか自分の存在価値が急にゼロになったような気がしたり。


定職につかず、生きていくために必要なお金だけ

アルバイトをして生きる

「中年フリーター」になろうか、とも思うのだが、

意外とプライドというようなものがあったりするんだよね。

社会的にはただのおっさんなのに

時給千円ちょっとのアルバイトにいざ向き合うと

少し「シュン」となってしまったり・・・。


「しばらくは働かずに休みたい」と思っていたけど、

どこかに所属していることの方が、それがたとえ隷属的だったとしても

孤独感という点からは「楽」なことに改めて気づいたりして。


ま、しばらくは、この「孤独感」をお腹に抱きながら

無職求職中の57歳として、

次の一手を考えてみることにしよう。


#中年フリーター #早期退職 #ハローワーク