2024年4月22日月曜日

田口ランディ「コンセント」

 幻冬舎の本はいつもなんとなく手に取る。ブックオフで昼休みに本の背を見ていたら「田口ランディ」の著者名が目に入ってきた。前から気になっていたけど、何となく手に取ることもなかったのだが、今回なぜか分からないが「コンセント」を手にして、110円だからと購入した。自分でいうのもなんだけど、この本一気に読んでしまったのが信じられない、っていう感じ。物語は引きこもりの兄が腐乱死体で見つかることから始まり、酒乱で船乗りの父、引きこもりの兄に家庭内暴力を受けている母、そして兄の家族を呪うように書いていく。そして主人公のフリーライターは、衝動的に男と寝る。過去を吐露していくと心理学を専攻する大学生だったときに指導教官と男女の関係になり、異常な性交を重ねたことを綴っていく。そして、オカルティックな潮来の話が出てくるなど、かなり重くてちょっと前なら完全にパスするテーマの本なのだけど読んでしまった。たぶんそれは、私が去年父をなくしたからだろうと思う。うちも厳しく激しくこうあるべきだという考えを持っていたから、父の死から時間が経ってくると、自分の心の蓋が外れたような感じがあるのだ。田口ランディの作品は自分の実体験に基づいていて、実際の人生で兄に引き続き母が亡くなったとき、「自分の家族のことを書いてしまえ」と思ったそうだ。憎んできた自分の家族を書いていく、ということが、この作品を私に読ませてしまったそのものだと思う。自分も傷つきやすくもろい心を持っていたけど、父親のいうことを聞いてその心に蓋をしてきた、と思う。いまは余りにそれが不通になってしまったから、蓋の外し方が分からないが。いずれにしても田口ランディを読んでいる。

#田口ランディ #コンセント 

2024年4月19日金曜日

映画「最高の人生の見つけ方」

 2019年公開の「最高の人生の見つけ方」(ワーナーブラザーズ)をネットフリックスで観る。吉永小百合と天海祐希が共演。末期癌を宣告された70歳の主婦と創業社長として成功している40代女性がたまたま病院で同室になり、同じく癌を宣告されている12歳の女の子の夢のリストを、二人が残された人生で体験していくというストーリー。アメリカでスカイダイビングをする、京都の料亭で美味しい食事を摂る、日本一大きいビッグパフェを食べる、モモクロクローバーZのコンサートに行く、ウエディングドレスを着る・・・、12歳の女の子の夢を実現しに二人が旅していく。

 吉永小百合演じる北原幸枝は定年してテレビにしか興味がない夫、引きこもりの長男を甲斐甲斐しく主婦として支えるが、余命を宣告され日常を飛び出す。創業経営者として巨大企業のトップとして巨万の富を持ち、ストレスを煙草と浮気ばかりしている若い夫(賀来賢人)で紛らわしている天海祐希演じる剛田マ子は、末期癌の宣告をきっかけに幸枝の旅に付き合うことを決める。その旅の途中で幸枝はマ子にずっと憎んできた自分を捨てた父との再会の機会をプレゼント。マ子は幸枝に心を開いた夫(前川清)や編集者としてバリバリ働きながら未婚の母となろうとする娘(満島ヒカリ)ら家族に囲まれる披露宴会場でのウエディングドレス姿をプレゼントする。

 画面にはマ子の遺影が映し出される。マ子は事業を投資会社に売却し遺産の200億円を幸枝に贈ることを遺言で遺していた。二人は死んでいく。12歳の夢ノートに書かれた最後のリストは「宇宙旅行」。幸枝はマ子の秘書の高田学(ムロツヨシ)にこのお金を託し、高田は幸枝とマ子の名前が刻まれた宇宙ロケットの発射実験を成功させる。こんなストーリー。

 もうすぐ死ぬと分かったらあなたは何をしますか?ということを問いかけてくる映画。さて私は本当は何をしたいのだろうか、今本当にしたいことをやろうとしていますか?映画を観終わった私はじんわりと考え始めている。70歳の主婦を演じた吉永小百合の姿は57歳の自分にとって遠い存在ではない。

#最高の映画の見つけ方 #吉永小百合 #天海祐希 #ムロツヨシ #満島ヒカリ